銀樹の大河ドラマ随想

2018年「西郷どん」伴走予定。「おんな城主 直虎」(2017)についても平行して書こうかと。

西郷どん 第5回「相撲じゃ!相撲じゃ!」 感想

御前相撲に湧く薩摩藩士。そしてラブコメ

第5回:2018年2月4日(日) 「相撲じゃ!相撲じゃ!」

(演出は1~4回の野田さんから変わって益子原誠さん)

 

あらすじ

 斉彬(渡辺謙)新藩主就任に浮き立つ薩摩藩。「空の色まで違って見える」と村田新八(堀井新太)と西郷吉之助(鈴木亮平)が話していると、「相撲じゃ、相撲じゃ、相撲じゃ~」と、大山格之助(北村有起哉)・有馬新七(増田修一朗)が大騒ぎしながら駆け寄ってきます。有馬は勢い余って村田に体当たりし、2人で川に落ちてしまいました。

 今回はこの下鍛冶屋町郷中・高麗町郷中の二才(にせ)達(=後の精忠組メン)のわちゃわちゃ青春物語がメインです。

 新しい殿様の前で御前相撲が開かれることになり、それには藩士の誰でも出場のチャンスがあると聞いて吉之助も大興奮。早速皆で西郷家の庭に集まり、相撲の稽古をすることに。優勝者には米10俵も下賜されるということもあり、皆それぞれとても意気盛ん。

 そこへ岩山糸(黒木華)が姿を見せます。謹慎中の大久保正助(瑛太)が使えるよう、紙を持って行くとのこと。糸は吉之助が好きなのですが、このドラマでは西郷家と大久保家が庭をはさんで行き来できるお隣同士という設定のため、閉門扱いになっている大久保家に用があると言えば、西郷家を経由できるのですね。

 また大久保家の方が少し家の土台が高いという設定でもあるので、大久保家にいて内職を手伝っていれば西郷家の様子=吉之助の様子を垣間見れるという訳です。秘かに恋する乙女の知恵ですねぇ。

 吉之助は親友正助のためという糸の行動に「そいはよか」とにっこり。正助はこれまた糸に思いを寄せているため、男の体面もあるのか「こんな高価なものを(昔、紙は貴重品でした)」と遠慮しますが、吉之助のとりなしでありがたく受け取ることにしました。その後、向かいの庭で相撲の稽古を始める郷中の皆を見て「ないな?急に」といぶかります。そこで吉之助から今度御前相撲があることを説明され、浮かない顔をする正助でした。せっかく華々しい機会が設けられるのに、自分は未だ謹慎中で関わることができないからでしょうか。(大久保正助大久保利通は大の相撲好きだったそうです。)

 そこへ「う~、あ~!」と荒々しく叫びながら、有村俊斎(高橋光臣)が駆け込んできました。俊斎が言うには、斉彬は父斉興の藩政方針を最初は継承し、お由羅騒動で処罰された人々の赦免も見合わせるとのこと。大久保正助はますます意気消沈し、母の福(藤真利子)もそれを聞いて失望のあまり倒れてしまいます。

 そこで、吉之助と(後の)精忠組メンは「こうなったら何が何でも御前相撲で一番を勝ち取り、大久保次右衛門と正助の赦免を斉彬公に直訴する!」と決意するのです。

 その頃、弟久光(青木崇高)を連れて父斉興(鹿賀丈史)を機嫌伺いに訪れた斉彬は、斉興とその愛妾由羅(小柳ルミ子)にけんもほろろの扱いを受けていました。流れで間に入らざるを得なくなった久光は、兄をフォローしても素直に頷かない父母の頑固さに困り果てている様子を見せます。

 さてそんなある夜、岩山糸は父から海老原重勝(蕨野友也)との縁談話を言い渡されました。吉之助への思慕を抱く糸は思い悩み、履いていた下駄の片方を蹴り上げ「表が出たら嫁に行く、裏が出たら…」と恋占いをしますが、下駄は勢い余って川に落ち、真下で鰻取りをしていた吉之助の頭に命中します。片足の下駄を無くした糸を、吉之助は親切心から背負って大久保家まで連れて行きますが、その様子は偶然にも、仲間と川岸にいた縁談相手の海老原重勝(=糸を見初めた人)に見られていました。

 その後に西郷家で行われた勝負の結果、下鍛冶屋町郷中の相撲代表は村田新八ということになります。また、吉之助の祖母きみ(水野久美)の発言で、糸の縁談が決まったことも皆に暴露されました。正助と糸は、それぞれの思惑により困惑の表情を見せてしまいます。ことに正助から糸への想いは、吉之助以外の仲間皆にはもう、既にバレていました。俊斎は「糸さぁも正助どんに惚れちょっど」とたきつけます。惚れていなければこんなにしげしげ大久保家に通うはずがないと(本当は大久保家から吉之助を盗み見するのが糸の目的なわけですが)。

 吉之助は下駄を片方失くした糸のために草履を編み、妹の琴(桜庭ななみ)を通じて渡します。嬉しそうに受け取ってそれを履く糸でした。

 

 さて御前相撲の当日。観覧席には斉彬の他、島津一門四家の姫君方が華やかに装って着き、その美しさに人々はざわめきます。その中には篤姫として後に将軍家に嫁ぐ、今泉島津家の於一(おいち、北川景子)も混じっていました。

 そんな中、吉之助ひとりは姫君方に目もくれず、ただ幼い日からの憧れの人・斉彬のことだけを考えています。

 この日、運悪く下鍛冶屋町代表の村田新八はお腹を壊して厠に籠もり切りとなり、とても土俵に上がれる状態ではありませんでした。届出を新八の名で出してあるため吉之助や有馬新七は困り果てますが、背に腹は代えられず、吉之助が土俵に上がることを決意します。一度はまかりならぬと殿様お側用人の山田(徳井優)に制止された吉之助ですが、斉彬の意向で代理を許されることに。吉之助はますます斉彬への敬慕を強めるのでした。

 その頃、糸は御前相撲の見物には行かず、吉之助にこの間の草履のお礼をと、西郷家を訪れていました。正助はそんな糸を呼び止めてその気持ちを確かめようとするのですが、人の感情に敏感なところのある彼はその時、糸が自分ではなく吉之助を好きなのだと見抜いてしまいます。

 一方、吉之助は順調に勝ち上がります。観覧席にいた於一は相撲見物を楽しんでおり、隣に座った重富島津家の於哲(おあき、杉岡詩織)と、取組のどちらが勝つかお菓子を賭けたりしています。そんな於一に斉彬は「次は私と賭けんか」と一言。於一が吉之助の相撲を気に入ったことを見抜き、彼に賭けるか?と挑発するのです。於一は受けて立ち、吉之助は決勝でも見事糸の許婚者である海老原重勝を下し、優勝を果たしました。於一の勝ちを宣言した後、斉彬は土俵に下り、優勝者の吉之助になんと自ら相撲勝負を挑みます。畏れ入る吉之助に対し「余が相手では不服か」と声をかけ、強引に勝負を迫るのです。

 父吉兵衛はじめ、吉之助の仲間達は皆「勝つな!」「首が飛ぶぞ!」と吉之助を諫めます。しかし卑怯なことが苦手でもあり、また幼い日に斉彬から「強くなれ」と声を掛けられたことを忘れられなかった吉之助は迷いに迷った末、決死の覚悟で勝負に出ることに。そして激戦の末、斉彬を投げ飛ばしてしまうのでした…。

 そのせいで、勝ったとはいえ吉之助は牢に入れられてしまいます。その牢には、もう一人、変わった髪型・服装をした謎の男(劇団ひとり)が先に入れられていました。

 

精忠組メンズのわちゃわちゃ感楽し

演技で魅せてくれる土臭い青春物語

 今回、表のメインテーマが相撲、ということで、郷中の二才どん達を演じる俳優の皆さんの姿が熱かった。吉之助役の鈴木亮平さんを初めとして、高校生の部活さながらに相撲に熱中する姿を演じてくれます。で、皆さん実はほぼ30代、大山格之助を演じる北村有起哉さんが43歳で最年長、村田新八を演じる堀井新太さんが最年少で25歳。でもなんかちゃーんとダンスィ感出てまして。わちゃわちゃ楽しい。

 こういう群像的な描写はここ最近=2000年代以降に作られた幕末大河の、もはやお約束感がありますが。西郷どんの場合の、いわゆる男子の筋肉自慢っていうのはなんかそれなりにリアリティあっていいんじゃないかなって思いました。うん、これはいつの時代でもあんまり変わらなそうだよね。

 そんな中でひとり大久保家の正助どんだけが、藩主交代騒動(お由羅騒動)の影響で謹慎中なわけですが、じゃあ彼のためにも勝とうぜー!っていう脳筋っぷりもなにせ舞台が薩摩藩なのでリアルなんじゃないかと感じます。

 今後、ストーリーが進めば、このメンバーで日本をひっくり返したりもしちゃうわけで。後々敵味方に分かれるメンツもいますし。今はがっつり仲良しなところを描写しておくのはありだなぁと。

 で、もちろんそんな中で、鈴木亮平さん演じる吉之助の存在感は抜群です。なにしろガタイが素晴らしい。作り込まれてます。あとやはり、「斉彬様の前で相撲が取れる!」という可能性を想像しただけで、舞い上がってアツくなってしまう心情描写も熱量がすごい。ここらへんはきっと、ある程度体力勝負、みたいなところもあるんでしょうね。今回は主人公感が素晴らしく出ている吉之助どんでありました。

 

実らぬ初恋の一方通行がなんとも王道

糸ちゃんも正助どんも可愛い…これも芸の力です

 そうして汗と土ぼこりにまみれ、男くさい部活物語めいた展開をしている主流ダンスィーズを横目に見つつ、準主役ともいうべき正助どんは、ひたすら学習・写本の毎日。前回・第4回では他の家族たちと一緒に傘張りの内職をしていましたが、斉彬様が藩主になられたということで、ご赦免を期待しているからです。「声がかかったら、いつでんお役目に戻れるよう備えておらんにゃいけもはんで」と思っているのですね。

 そんな正助のために隣人でもあり親友でもある吉之助は、せっせとよそから本を借りて来てやり、糸は写本のための紙を差し入れします。糸のことを好いている正助はますます彼女を好ましく思うわけですが、糸の方は吉之助に会っても不自然ではないよう、状況を利用しているかたちです。

 

 この2人がすごーくおぼこい(初々しい)感じで良かったと思います。正助を演じる瑛太さんは35歳でお子さんもいらっしゃいますし、黒木華さんも今や27歳。両方とも完全に演技力で出している初々しさ。俳優さんって素晴らしいなと思います。

 なぜかといえば、この第5回はなんといっても肉体を張っての相撲演技が素晴らしかったので。でも、では正助と糸のシーンが見劣りしたかというと、全然そんなことはなくて。幕末はいちおう自由恋愛の時代ではないので、気持ちがあるからといって簡単には告白ができないわけですよ。そういう条件下で、でも胸に秘めた想いが大切で、大事にしたくて。

 吉之助達が御前相撲に行っている間に正助と糸が語り合うシーンは、そんな揺れる心がじんわりとこちらに伝わってくる、名シーンだと思いました。

 

 江戸時代以降の場合、「お家を絶やさないための結婚」が一にも二にも大事、というのが時代劇のお約束事項のような暗黙の了解になっています。なので、考えてみたらわりとこの「実らぬ初恋の一方通行」的切なさ、というのは王道エピだという気がしないでもないですが。でも設定としてはあるあるだけど、演技で好感度高く、美しく魅せて頂きました。

 

大久保正助=後の利通の人間らしさを描くエピソード

 私はそもそも最初は、糸をはさんだ吉之助と正助の三角関係とか誰得?と懐疑的だった方なんですが、この回を観て「ああなるほど、これは正助(後の大久保利通)の人間的な側面を描くエピソードとしては意味あるかも」と思いましたね。

 他の幕末ドラマでは、あんまり大久保って厚みのあるキャラで描かれることがないですからね。西郷とW主演で作られた「翔ぶが如く」(演:鹿賀丈史)くらいなのでは。幕末薩摩では相当な重要人物なのですが。

 

 糸に縁談が持ち上がって、周囲に「糸どんは正助が好きなのでは?」と示唆され、もしかしたらそうなのかもと舞い上がりつつ、気持ちを抑えて、なんとか二人きりになる機会を作って糸と話す正助。話をしている最中、糸が足元を嬉しそうに見つめているのを目ざとく捉えます。糸は、吉之助が自分に作ってくれた草履を大事に愛おしそうに見ているのです。

 むろん、それだけで正助が超能力者のように真相に気づく、という訳ではなく、そこから吉之助の話を始めた糸の様子を見て「ああ糸さぁが好きな相手は吉之助だ」と理解する流れなのですが。このシーンの2人の表情は本当に見事でした。

 その後も西郷家に吉兵衛(風間杜夫)が吉二郎を伴って帰宅し御前相撲で「腹を壊した新八の代わりに吉之助が出て、勝ちおった」と告げたとき、正助と糸が顔を見合わせて嬉しそうな表情をするんですよねぇ。正助は彼女の気持ちを知ってしまった筈なのに、友が勝った喜びの表情を糸に向け、嬉しく誇らしい気持ちを分かち合う。そこには本物の愛情があるんだなぁと感じました。吉之助へも、糸へも。

 そういえば、現代劇だとこういう純愛っぽいというか、ちょっとむずむずするような可愛いシーンをこの年代の俳優さんたちが演じることって今まずないですよね。もう少し若手の人のするような場面。なので、これも時代物ドラマならではかもしれません。

 それにこんなにも吉之助に親愛の気持ちを抱いていたこの正助どんがゆくゆくは彼と袂を分かつんだぜ。それまでの間にいったい何が起こるのか。私は、本作は、その積み重ねを丁寧に描いていくような気がしています。

  

  た・だ・し。

 苦言もひとこと言わせて頂きます。今のところ、展開があまりにベタで既視感ありすぎ!な部分がちょっと多めです。長丁場の連ドラが、視聴者に先を読まれる展開を続けすぎるのは、アンチを作りやすいと思います。ここはまだまだ、この大河の不安材料です。

 

 ザ・相撲。相撲!相撲!相撲!

ご隠居様はお気に召さないようですが

 ところでこの御前相撲の案は、斉彬自身が出したものでした。本来ならそういう際には能の番組を組むのが定番とのことですが、相撲の方が良かろうと。実際に幕末の薩摩には相撲好きが多かったとのことですので、藩士の心を取り込むのに相撲というのは良い手かもしれません。隠居中の斉興も愛妾お由羅の方と薩摩にお住まいのようでして、斉彬はご機嫌伺いも兼ね弟の久光と一緒に相撲見物のお誘いに行きます。もちろん隠居が心底不本意な2人に完全拒否されてしまいますが…。藩主時代はいつでもしゃっきりと背筋を伸ばし、眼光炯々としていた斉興ですが、今は一人で背中を丸め崩し将棋をしており、この隠居が彼にもたらした打撃の大きさを暗示しておりました。

 ここ、藩主交代時に超本気でロシアンルーレットを迫ったくせに「一緒に相撲見物どうですか」っていうのも、ちょっと斉彬さんって凄い神経だ、とは思うんですけどね。斉興公も訪れた息子に「城から出たら、何もすっことがなか。退屈じゃ」などと、ふいっと漏らすあたり、ああやっぱり親子なんだなぁと思いました。

 互いの間を狂気が吹き抜ける瞬間はあれど、なぜか心の内を不用意に話す時もある。他人で仲の悪い間柄だとしたら考えられないようなやり取りが交わされることが、不仲な家族の場合は往々にしてあります。そういう描写が本作には挟まれていて、ここはなんだか短いながらすごく良い場面だったなと思います。

 斉興に「江戸者に何がわかる」と言われ斉彬は「薩摩で生まれ育った久光が頼りじゃ」と弟に下駄を預けて(実際に預けたのは5年物の黒酢の壺でしたが)、早々に老夫婦のもとを立ち去ります。久光は兄と両親の仲を取り持とうと試みますが、むろん空回り。

 久光、こういうことされたらもっと兄に怒っていいと思うよ。お互い根本的なところで解り合おうとする気がないし、そんなところで間に立たせようなんて無責任過ぎる。こういうストレスが兄の死後、爆発するのでしょうかね。それはそれで見てみたい気が。

 

お姫様方も相撲見物がお好き

 御前相撲の当日には、島津ご一門の姫君方も桟敷席に見に来ます。ことに美貌の於一はこうした勝負事が大好きなようで、隣の姫と勝負にお菓子を賭けながら見物を満喫。もっとも隣に座った姫の於哲も賭けのお誘いにすぐ乗るあたり、基本的にノリが良くて血が熱いのが薩摩おごじょのようですね。

 於一は特に吉之助の相撲が気に入り、彼の出番は彼に賭けると決めたようです。また、斉彬はそんな於一のことも気に入った様子。

 斉彬はこの相撲の取組に出る藩士の御役・人柄・家のことなどを近臣に読み上げさせていました。郷中代表になるようなめぼしい藩士達の顔や名前を覚えておきたいと思ったのでしょう。これはと思う人物を引き立てようと思ったのかもしれません。

 それと同時に、このドラマでは分家の姫君方の人柄をも見極めようとした、という演出でしょうか。西郷の一生を描くにあたり、斉彬の養女として大奥に輿入れした篤姫の存在は大きく、必須ですが、1年という尺を考えると今の段階で登場させるのは賢い手だと思います。この相撲回はそういった意味でエンターテインメントとしてインパクトも強く、かなり成功してるのではないかと私は思いました。

 

取組はものすごく見応えあり。堪能しました

 相撲の取組は、主人公の吉之助を中心に対大山格之助、対海老原重勝、そして最後に対藩主斉彬と、じっくり画面に映されました。

 鈴木亮平さんと大山役の北村さん、海老原役の蕨野さんは早稲田大学の相撲部で夏、稽古を積んだそうです。そして斉彬役の渡辺謙さんは子どもの頃よく相撲を取ってらしたのだということ(公式サイトと鈴木さんのブログより)。ふだんTVで観る大相撲とは違って素人相撲ですし、どの取組も年齢差だったり体格差だったりがあったわけなんですが、どれも息を呑むような互角のすごい勝負に見えました。以前、ほぼ日のサイトで脚本家の森下佳子さんが「役者さんはフィジカルエリート」とおっしゃっていましたけれども、この相撲勝負を見て本当にそれを痛感しましたね。

 あと、もうひとつ「うわぁ」と思ったことがありまして。海老原が吉之助と勝負する前の取組で、左足首を痛めてしまうんです。そうすると、2人の取組の時に観衆がいっせいに「左だ、左だ」って叫ぶんですね。この演出は驚いた。吉之助に向かって、弱点がある方のその弱点を指して、そこを狙えと。観衆がですよ。ものすごくびっくりしました。薩摩兵児、ホントに怖い…。

 今後このドラマでは、幕末の動乱だとかそれこそ戊辰戦争西南戦争ですとか、戦闘シーンがあると思われますので。このまま薩摩藩士をこの調子で描写していくとしますと、後がガッツリ怖いことになるのではないかと。夏あたり、それから11~12月あたり、絶対怖そうです。今のうちだけかもよ、スイーツだ青春だ恋愛描写だ、って言っていられるのも。

 そしてやはり白眉は「成長した吉之助が初めて斉彬と対峙した」緊張感と言葉にできない憧憬の思いと覚悟、それらをセリフ以外で表現しきっていた鈴木亮平さんの演技です。またその吉之助の思いをがっつり体で受け止めていた斉彬公の渡辺謙さんも、ただただ見事でした。運命の主従、再会する。ですね。(斉彬が、あの時の少年こそ西郷吉之助だと悟ったかはまだ判りませんが。)

 

次回は謎の男がキーパーソン

 さて、総括しますと第5回は相撲に浮かれるエンタメ回と見せかけて、今まで積み上げてきたパワーの集約もあり、また今後への仕込みが盛り沢山に詰まった伏線回でもあったんじゃないかな、と思ってます。薩摩の武芸への熱気も改めて示していました。歴史描写の解りづらさも前回までの藩主交代劇で終了と思いたい。これからは色々な事がサクサク動いてくれると良いですね。予告を見る限り、糸さぁも次回は海老原様にお嫁入りしそうですし、少し不評な感じがしないでもないラブ・コメパートも、これからしばらくは、出てこないかも。

 

 ちなみに海老原様、なかなかイケメンでしたし、お家柄も良く、性格も…断言は出来ませんが、見た感じは、負けず嫌いだけど意外とサッパリした人のよう。赤山先生のところで糸さぁを見初めたということなので、斉彬様派で、赤山先生ともご縁がある方のようですし。まあ良いお婿さんになるんじゃないかなと思います。

 

 そして、牢に入れられてしまった吉之助の方は、謎の男と出会う訳ですね。今回の相撲も創作ですし、この謎の男との出会いも創作ですが、これは面白そう。というのはこの謎の男がこの年に薩摩にいたのは史実だからです。西郷どんでは、この男の存在がどういう役割を果たすのか。予告ではloveとかいう言葉が出てきましたが、さて…?